検査結果の見方と解説
検査項目 | 検査内容の解説 | |
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肥満度 | BMI | 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求める指数です。 |
腹囲 | 内臓脂肪の蓄積の目安となり、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)を判定する際に用います。 | |
視器 (眼科) |
眼底検査 | 眼科的疾患の診断に役立つほか、眼底の血管からは血管の状態を知ることができ、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの全身疾患の判定に役立ちます。 |
眼圧検査 | 緑内障の危険因子である眼圧(目の硬さ)を調べます。 | |
聴力 | オージオメーター | 4000Hz で多くの聴力障害の初期に認められる高音域の障害を調べます。1000Hz は会話域です。 |
循環器 | 血圧 | 高血圧が続くと、動脈硬化が進行して、脳卒中や心筋梗塞の危険が高まります。 |
胸部X線検査 | 循環器系の疾患としては心拡大や大動脈瘤などの情報が得られます。 | |
心電図検査 | 心臓の電気の流れから、脈の異常、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、心肥大などの可能性を判断します。 | |
呼吸器 | 胸部X線検査 | 肺・胸膜の炎症や腫瘍などの異常を知ることができます。 |
肺機能検査 | %肺活量は肺が空気を吸い込める量を、1秒率は肺への空気の出入りのしやすさを調べます。1秒量は、息を吐き出した最初の1秒間の空気量で、呼吸機能の総合的指標となり、年齢とともに低下します。 | |
血液一般 | 白血球数 | 感染症や炎症性疾患で増加します。また、増加や減少が著しいときは、血液疾患を疑います。白血球像は、その異常の原因を推定するのに役立ちます。 |
赤血球数 | 貧血や赤血球増加症(多血症)の有無を調べます。貧血は、主に血色素量で判断します。赤血球数、ヘマトクリット値(血球成分比)、MCV、MCH、MCHC は、貧血の原因を知るための参考となります。これに対し、赤血球増加症(多血症)は主に赤血球数で判断します。 | |
血色素量 | ||
ヘマトクリット値 | ||
血小板数 | 少なくなりすぎると血が止まりにくくなります。減少しているときは主に肝障害や血液疾患を疑います。 | |
食道・胃・ 十二指腸 |
胃 X 線検査および内視鏡検査 | 食道・胃・十二指腸の腫瘍、潰瘍、炎症などの病気を発見します。 |
大腸・ 肛門 |
便潜血 | 便に混じる血液を見て、大腸疾患(癌・ポリープ・炎症など)の存在を疑います。 |
肝臓・ 胆道・ 膵臓・ 脾臓 |
GOT(AST) | 肝臓に含まれる酵素で、肝細胞の障害(破壊)で血液中に増加します。GPT(ALT)は肝疾患に対する特異性が高いため、増加の際には肝障害を疑います。GOT(AST)と組み合わせると、アルコール性かどうかなど、肝障害の原因を推定することができます。GOT(AST)単独の増加の場合は、筋肉の障害を疑います。 |
GPT(ALT) | ||
肝臓・ 胆道・ 膵臓・ 脾臓 |
LDH | 肝臓・心筋・骨格筋などに含まれている酵素で、それらの障害で高値になることがあります。 |
ALP | 胆道疾患や胆汁がうっ滞をきたす肝臓疾患において増加します。骨や血液の疾患などで高値になることもあります。 | |
γ-GTP | 肝臓や胆道に障害があると血液中に増加します。過量飲酒や脂肪肝でも増加します。 | |
総蛋白 | 身体の栄養状態の指標になります。また、肝臓で作られて、腎臓でろ過されるため、肝臓や腎臓機能の指標になります。 | |
アルブミン | 肝臓で作られる蛋白質です。慢性肝障害の重症化などで低値になることがあります。 | |
A/G 比 | 肝臓や腎臓の疾患などの有無や重症度を診断する際に参考になります。感染症や腫瘍で低値を示すこともあります。 | |
総ビリルビン | 肝臓・胆道疾患に伴う黄疸の有無を見ます。ただし、体質的に軽度高値の方もいます。 | |
コリンエステラーゼ | 肝臓で作られる酵素です。低値では肝障害、低栄養など。高値では脂肪肝、ネフローゼ症候群などが疑われます。 | |
アミラーゼ | 主に膵臓から分泌される酵素です。膵炎以外に、唾液腺の疾患でも増加します。 | |
肝炎 | HBs 抗原 | B型肝炎ウイルスの感染の有無を調べる検査です。抗原陽性(+)の場合は、現在ウイルスを保有していると考えられます。 |
HCV 抗体 | C型肝炎ウイルスの感染の有無を調べる検査です。陽性(+)は、感染の既往の場合もあります。 | |
腎・ 泌尿器 |
尿素窒素 | 腎臓から排泄される老廃物で、腎機能が低下するとろ過しきれずに、高値となります(尿素窒素は、蛋白質の取りすぎ、脱水症などでも高値になることがあります)。 |
クレアチニン | ||
eGFR (推算糸球体濾過率) |
血液中のクレアチニン値と年齢、性別などから計算されます。そのため年齢や性別が考慮されており、より正確に腎臓の機能を評価できます。クレアチニンに比べ、早期の腎機能異常を反映 する値です。 |
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尿検査 | 腎機能の初期の悪化は、尿中の蛋白でみます。ただし、尿蛋白は、過激な運動や多量の肉食でも出ることがあるほか、体質的にも出やすい人がいます。 尿中の潜血は、尿管結石や膀胱炎以外に腫瘍があっても出ることがあります。 尿沈渣は、その成分から、尿路感染症、尿管結石、腎疾患などを推定することができます。 |
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腹部超音波検査 | 主に肝臓・胆のう・腎臓・膵臓・脾臓を観察する検査です。膵臓はその構造上全体が見難く、一部観察できない場合があります。 | |
脂質 | 総コレステロール | 総コレステロールは、HDL-コレステロール(善玉)と LDL-コレステロール(悪玉)に中性脂肪の五分の一を加えた総数です。 また、甲状腺の疾患やネフローゼ症候群でも大きく変動します。 |
HDL コレステロール | 動脈硬化を防ぐ善玉コレステロールです。 | |
LDL コレステロール | 動脈硬化の危険因子である悪玉コレステロールです。 | |
中性脂肪 | 大切なエネルギー源ですが、多すぎると皮下脂肪や内臓脂肪となり、肥満や動脈硬化の原因となります。 | |
糖代謝 | 空腹時血糖 | 糖尿病は、空腹時血糖と最近1~2ヶ月間の血糖値の平均を示す HbA1c(ヘモグロビン A1c)の値を組み合わせて、その可能性を判断します。尿糖検査で陽性(+)でも糖尿病とは限らず、糖尿病の診断基準ではありません。 |
HbA1c | 最近1~2ヶ月間の平均血糖の状態を示す値です。 | |
尿酸 | 尿酸が増加すると、痛風が起こりやすくなります。さらには、腎障害の原因になることもあります。 | |
電解質 | Na、K、Cl、Ca | それぞれの電解質はバランスをとりながら重要な役割を担っています。バランスが崩れた場合、腎機能やホルモンの働きに問題がある可能性があります。 |
H.ピロリ菌抗体 | ピロリ菌は、胃粘膜の慢性的な炎症や潰瘍の原因になることがあり、まれに胃がんを引き起こすことがあります。 | |
ペプシノーゲン | 陽性(PGⅠと PGⅠ/Ⅱ比がともに低値)は、胃粘膜の萎縮の程度を反映します。萎縮が進むと胃がん発生頻度が高まるといわれていますので、胃内視鏡検査の実施をお勧めします。 | |
前立腺 | PSA | 前立腺に特異的に含まれる糖蛋白質で、前立腺の細胞が壊れると血中の濃度が上昇します。上昇の原因としては、炎症、肥大、腫瘍が考えられます。 |
乳房 | 乳房超音波検査・マンモグラフィ | 乳がんや他の乳腺疾患の診断を行う検査です。 |
婦人科 | 子宮頸部細胞診 | 子宮頸部の粘膜を採取し、がん細胞の有無を調べる検査です。 |
炎症・ 感染症 |
CRP | CRP は炎症があると上昇するため、炎症のマーカーとして使用されます。 |
RF | 主に、リウマチの診断の指標となります。ただし、健常人でも増加することがあります。 | |
梅毒血清反応 | TPHA と RPR ガラス板法は、両者とも陽性のときにのみ、現在梅毒にかかっている可能性があると判断します。 |